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胎蔵山



 田沢川に出て酒田市平田地区を貫流する相沢川に注ぐ、元田沢の鷺沢沿いの林道を辿り、谷間の両側に段々状にひらけた小さな水田の列にさしかかる。小川にかけられた目立たない橋を渡って登山路となる。しばらくは刈り払った幅広の道が続き、覆いかぶさるような杉林と雑木の森の中を進んで行く。道はなだらかで梢の間に鳥海山が見えかくれし、静かな山の一本道に気分も穏やかになってくる。
 胎蔵山の片裾の道中、里からのコースと合流するしめかけを過ぎ、向かい合う尾根と整然とした杉の植林を見ながらゆけば西に展望ひらく鳥居の松に着く。再び杉林の中へ入って行くが今度はジグザグの急登となり、それぞれに名を冠した清水を渡って、広葉樹林がいり混ざった道を登る。やがて道はゆるやかになり鬱蒼とした森の中に消えてゆく。奥に中の宮薬師神社がひっそりとある。板壁一面に落書きのある社から、ブナとナラの林をくぐりぬけ標高729mの山頂に出る。
 胎蔵山はこの山をとりまいて接し合う村落の領域争いの中心でもあった。『平田町史・田沢地域抄』にある”塩水様お堂”によれば、「田沢組胎蔵山の下、塩水湧き出る泉これあり候よし、実に候也。又、胎蔵山は何れの山を申す候也」答に「胎蔵山と申すは田沢組の中、中野俣村と升田村の奥あいの山にて山上に薬師大権現の・・・・・・例え春夏秋冬雨天炎天でも水の増減これなし・・・」この山は水と木と山の幸の蔵であったのだろう。

●杉と松林の中の一本道


●鳥居の松


弘法清水


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