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日本国



 終始展望のない山道が続く日本国山頂への道。しかし「日本国」という珍名と標高555mという数字のためもあって近隣の学童やハイカーたちの身近な登山目標として愛されてきた。登り口から杉の森に入って間もなく、七曲がり坂と名付けられたつづれ折の道を行き、一息ついて振り返ると眼下を横切るように国道345号線が走っている。
 樹林の中の道には、折々にここを登った人たちの記念の木札が記されている。上り始めてからちょうど1時間、これもまた切れよく森を抜け、同時に日本国山頂に立つ。周辺の木立が成長しすぐには展望を得られないが、新しい山小屋風の休憩所が建設されており、心地よくひとときを過ごすことができる。別に設けられた展望台に登ると日本海海上に粟島、そしてその奥に佐渡ヶ島が見える。東に転じて摩耶山と月山、さらには朝日連峰まで見ることができるだろう。
 「掘切峠より西の方、新潟・山形の県境に”日本国”という、高さ555mの山がある。古来より鷹狩りりに使う鷹を捕獲するため、鷹狩場を設けた山といわれる。出羽の国は鷹の羽を産出するので”出羽の国”と名付けられたという。その昔、ここで獲れた鷹を領主が将軍に献上したところ、日本無双の鷹と賞讃され、この山に日本国という名を冠した・・・」
 あるいはまた、蘇我馬子と対立した崇峻天皇の第二皇子、蜂子皇子がこの国に来て出羽三山を開き、皇子晩年にこの山に登って命名した山名ともいう。
 いずれにしても「日本国」という名の山はここより他に見ることがない。

●山頂と山頂小屋


●日本海に浮かぶ粟島


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