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摩耶山



 山名「摩耶山」は、その昔須佐之男命が竜馬で登ったところから厩山と呼んだとされている。その後、都岐沙羅柵の守護神として崇敬を集め、平安初期には、仏母摩耶夫人信仰・真言宗派の霊場となり「摩耶山」といい改められたと伝える。金峯修験奥の院として隆盛をきわめたが、江戸時代に入って庄内藩防備の要地として山止めとなり、摩耶山信仰は次第に衰退していった。
 標高1020mの岩峰は、朝日連峰と同様の花崗岩からなった地塁山地である。西側に衝風樹のブナ原生が見られ、東側は積雪によってえぐられ浸食著しく、谷が底深く落ちている。やせ細った険しい稜線が走り、多くの滝をつくり、一見人を寄せつけない程の山相を見せている。
 植生も特異なものがあり、山頂東側にシャクナゲ、奥摩耶にコケモモ、北尾根にコメツツジなどがある。
 鶴岡市温海地区越沢口から山頂へ辿ってみる。小国川の源流に沿って摩耶山への道があり、瀬戸橋を渡ると右に登山口、案内板がある。杉林の平坦な小径の行く手にカジ倉、ウノスの倉が並んでそそり立ち、早々に深山峡谷を思わせる景色に出逢う。間もなく小浜ノ茶屋跡で本道と中尾根コースの二つに分かれる。左に道をとり谷沿いに進むと奥に滝の音が聞こえて、弁財天、婦女子の滝が姿を現す。山中にはいくつかの滝があるが、落差28mの弁財天滝が最も大きい。この横にかけられた垂直な鉄梯子を飛沫を浴びながら行く時、沢登りに似た醍醐味を味わうことができる。尾根上に着き、これより先は急斜面をほとんど直登に近い状態で登りつめるが、ぐんぐんと高度は上ってゆく。滝の音も足下に遠のき、本道と平行に山頂へ向う。稜線直下一帯のブナの原生林をぬけると南北に長い片斜面の頂上テラスに着く。南東直ぐ傍に鎗ヶ峰(中岳)と鉾ヶ峰(後岳)の鋭い岩峰を従え、東側は絶壁となって谷底まで切れ落ち鶴岡市朝日地区倉沢口からの登山路が這い上がってくる。眺望は豊かである。朝日連峰の山並とふところ深くなだらかに広がる月山、北に鳥海山、庄内平野を望む。
 下山路は本道コースである。山頂を南へ下ると直ぐに摩耶山史跡「六体地蔵」が風雪にさらされて並び、奥の宮神社の小さな祠が建っている。鼻くくり坂を下り、七合目避難小屋をすぎウガイ清水を進むと、なだらかな道に入って関川コースとの分岐、五合目追分である。
 右に道をとって降り、七ツ滝、中尾根、摩耶山西側の全容を望みながら更に下ってクセ穴という杉林を通り、登路合流点に出る。


●六体地蔵

●弁財天滝


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