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経ヶ蔵山



 酒田市八幡地区との境界に近く、中野俣川をはさみ胎蔵山の北に標高474mの経ヶ蔵山がある。円能寺から頂を経て、十二滝までのコースを歩く。
 古くはこの山も修験の山であり、現在の登山路は修験道でもあったであろうが、その道は整備され麓の集落から経ヶ蔵沢に沿って続く林道の終わりまで車が入る。やがて山道に変わり、水場のある橋を渡ると尾根上の登りとなる。ミズナラを主とした広葉樹林の中のやや急な尾根道を行くと、梯子をかけた小さな岩場に辿り着く。「猿渡りの蔵」と呼ぶところである。行く手の道は二つに分かれていて、左は尾根筋をそのまま進み、右は「胎内くぐり」という奇岩を通るが、間もなく合流する。すぐに「座禅岩」というテラス状の大岩に立つ。その昔訪れた修験者もしばし休息したであろう眺望のよい場所である。道は再び鬱蒼としたミズナラの林に入り、ここを登ると山形県有形文化財史跡に指定された経塚に出る。平安後期のものといわれる経甕を安置した洞窟を見てほどなく辿れば、東屋が設けられた山頂である。北に、雄々と聳え立つ鳥海山があり、出羽丘陵の山々が峰を並べている。そして日本海を望む。
 帰路、傾斜の少ない、しかし左右に切れ込んだヤセ尾根を歩き始める。次第に美しいブナ林も加わって深山の大気が深くつつみ、500mに満たない山にしては格別の趣がある。
 須弥壇岩を過ぎ、さらに進むと丸太を組み敷きロープをつけた急降下の道となる。清流相沢川の上流部に降り着き、吊り橋を対岸に渡る。そこにはもう飽海三名瀑の一つ十二滝の音が聞こえてくる。
 新緑から紅葉まで、あるいは雪景色まで映しながら流れ落ちる十二滝。荒沢峡と合流するいく筋もの渓流の一つが30mほどの高所から段々に落ち、下るに従って様々に滝つぼをつくっている。最後は大きくふた筋に分かれて、折になす木立に飛沫を散らしながらとうとうと流れてくる。対岸に登って滝見台に立ち、見事な自然の造形美を見る。

●座禅岩


●十二滝



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