 |

●クロユリ |
|
月山は南北に長く稜線を張って立ち、県の東西に気象の差異をもたらす大きな壁である。
日本海から40km隔てているが、冬期大陸から烈しい季節風を受けて、月山の東側一帯に積雪20mとも30mともいう多量の雪を降らせる日本有数の豪雪地となる。これが夏を過ぎても解け去ることなく残り、所々に雪田が発達し植物にも影響を与える。中でも牛首下と弥陀ヶ原のバラモミ沢、山頂下の大雪域が著名であり、また高原状の緩斜面にできた池塘や湿原も広域にあって、月山を特徴づける草花が山頂まで尽きない。月山の雪田植生は残雪に添って常に芽ぶきと新緑があり、その傍らで花が咲き、またその先に実を結ぶ植物があるという、一挙同時に成長の過程を観察し、楽しめる貴重なものである。
弥陀ヶ原を巡る木道を一周すれば、月山に咲く湿原植物の9割を見ることができる。スイレン科のオゼコウホネは尾瀬、月山など、限られた山にしか見られない珍しい植物として有名であり、念仏ヶ原、行者ヶ原などの湿原大地にサワギキョウ、オゼミズキク、ミズバショウ、ワタスゲの一大群落がある。そして、山頂に咲く月山のシンボル、クロユリの群生は日本の山岳でも屈指のものといわれ、7月1日の月山開山祭と同時に満開となって人々を迎える。月山もまた庄内が誇る高山植物の宝庫である。 |

●オゼコウホネ |
|

●ミヤマリンドウ |

●イワカガミ |

●山頂、コバイケイソウ群生 |

●チングルマ |

●ヨツバシオガマ |
|
|
|