TOP BACK NEXT
お山の歳時記<鳥海山>

杉沢比山番楽
●杉沢比山番楽

 現代まで続いた鳥海山噴火の記録は587年に遡っていて東日本最古であり、日本最古(553年)の阿蘇山に次いでいる。以後各世紀に1〜5度、17、8世紀にそれぞれ一度の噴火があった。これらの噴火と山麓の天変地異は近在の人々のみならず、朝廷をも怖れさせ、蝦夷反乱の予兆とも考えられて各所に大物忌神を祀って、これに封戸、位階、勲等を贈りその怒りを鎮めようとした。
 鳥海山はまた、月山と並び信仰の山として著名である。鎌倉時代には修験者が入ったとされ、神仏名を当てた峰や谷、沢、川などが多くある。
 古来、鳥海山は庄内、仁賀保の両平野を潤す水源であり、五穀豊穣をもたらすとして広く尊崇を集めてきた。農耕の神という信仰に加えて、海上安全や漁業守護の神としても尊ばれ、これにまつわる神事や歌舞が永く伝えられている。
 毎年7月14日夜に行う「火合わせの神事」は、山頂本宮、七合目御浜神社、西浜海岸の三ヶ所と、鳥海山頂の一部が日本海上に飛んでできたという伝説もある県最北の離島、飛島の小物忌神社が加わって催される。
 また、登山路湯ノ台口に通ずる杉沢村には、原初の形をとどめて伝承されてきた山伏神楽「杉沢比山番楽」や、平安の貴族社会の趣を受け継いだ吹浦の「花笠舞」、蕨岡の「延年の舞」など貴重なものが多い。
 これらはみな、恵みの山鳥海山に対するに対する畏敬と感謝を表わし、絶やすことなく繰り返すことによって、長く安息の農耕文化を築いて来たのでもある。
 庄内側、南の山腹に姿を現わす種蒔きじいさんとばあさんは、鳥海山が示す初夏の兆しであり、田畑の営みを告げるほほえましい雪模様である。

新山山頂と山頂神社
●新山山頂と山頂神社
花笠舞
●花笠舞


Copyright (C) 庄内広域行政組合. All Rights Reserved.