ステンドグラスの朝の空        そうさ……夜
闇の中から立ち上がる         固くって
木々が                力を込めて想い出を潰す 僕は
家々が                『くるみ割り人形』
色を取り戻す             息を切らし
雀                  喘いで
の盛大な朝餉が始まる         ゴムの叫びを漏らすのさ
緑の 闇の              ――心遣いは止してくれ
流れ去る 静けさ           
                    (蒼い光の)
……(倦怠の)             (夜毎のダンス)
太陽が今日も顔を出す          (萎れた薔薇の)
                    (苦笑い)
灰皿に 吸殻いつつ          
ひしゃげてころがっている       そして朝
綿花の漂い              の
嗄れた頭               何という浮ついたざわめき
蛋白質の匂い             澱む空気は血の河となり
煙草のけむり             つめたく凍り
                   堰止められて脈を打つ
胸は                 染み込むのは
人の息でつまっている         この
時計が誤たず             崩れ墜ちる
歯車を軋らせ             刻(とき)
同じ軌道を回り出す          
ぐるぐる ぐるぐる……        ……僕は
僕も一緒に踊ってみるさ        両手を広げ
                   落下傘
――今朝の夢?           
  うなされていたって?

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