a                   c
無口な覚醒と             (悪い夢を見ました)
多弁な忘却が出会います        黒い猿が私を引っ張ります
夜が凋み                夜のくにへ
気味の悪い程 緋(あか)い        尻尾の下から
風船が膨らみます            蓮の花が見え隠れ
                   ずるっと体が動きます
ピンセットで              黒い指が
私はまた               肩に食い込みます
ガラス細工
首に腕時計のネックレス          目を覚ませば
嵐は小壜にしまいます               顔が
タバコの煙に虹がかかります        異様に腫れて
                    私の舌は月夜茸
朝はいつでも病人で  
好みの地球儀失くします       (冷たいタオルを当てますと)
                  (じゅっといって萎みました)
  b      
猥(みだ)りに笑う             窓を開ければ
歯の弱そうな津軽の             首吊坂に
超能力女性                  猫柳
手に                       *
哀しい程のやさしさ
あなたはひとり
暗い部屋で
鼻からエクトプラズム

 六根清浄
 六根清浄
 六根――
(正常?)

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