吹浦港 2
(F10号)
(2002.09.14〜2002.09.23)

 
2002年09月14日() 天気:晴れ きょうは、『吹浦‘漁’港』へ…
(実は一週間前の)9月8日()、久しぶりに、港(海)の絵を描きたいと、日本海沿岸を新潟県近くから北上し、そして秋田県の象潟(きさかた)まで、下見(?)に行ってきた。往復を入れると200kmあまり。1日がかりの仕事となってしまった。すばらしいところがいっぱいだったのだが、港の雰囲気と、Kosyu家から近い(20分で十分いける)ので、「吹浦(ふくら)漁港」に決めた。吹浦港は酒田市の北にある「遊佐町」の鳥海山の麓に位置し、月光川(がっこうがわ)河口の港である。しかし、‘漁’港とはいっても、(吹浦に限らず)どの漁港もヨットなどの‘レジャー船’が… とても多くなっていたのには、驚いた。
最終候補、「横位置」の構図。
同じく、「縦位置」の構図。
しかしこの日、午前中は、(BSで)「さくら」の‘今週の総集編’を見たりして、ぐずくずと出遅れた。昨日の夜は、教室に行って「人物」を描いたのだが、出遅れてしまい後ろの場所で‘立って’描いていたのだから、(久ぶりで)疲れもあったのかもしれない。でも、お昼前に出かけ場所探し。大体、場所を決めて最終候補を二つに絞る。横位置にするか、縦位置にするか迷ったのだが、縦位置に決めた。横位置の方が(きっと)まとめるのが難しそうだったし、もともとがKosyuは…、「縦位置の風景」が好きなのである。実は、港(海)を描くのは22年ぶり!で、22年前にも「吹浦港」を描いている。そして今回で、(港の絵は)5枚目なのであるが、すべて縦位置の構図なのである。

この場所は、港の奥が見渡せる一段高い、(旧)国道7号線の‘歩道’上である。 12時30分頃に描きだして、13時デッサン終了。絵の具を出して、13時30分、一色目終了。そして14時頃のようす。
13:00  デッサン終了。  (30分経過) 13:30  1色目終了。  (1時間経過) 14:00 下塗り終了。 (1時間30分経過)
でこのあと、遅い昼食を取りに行った。行き先は『16羅漢(らかん)』に隣接している食堂(兼みやげ物店)。「16羅漢」は、絵でいうと右上の山のすぐ裏にあたるのだが、その昔鳥海山より流れ出した溶岩といわれる、日本海に突き出した岩々に、1884年から1868年(明治元年)までの5年をかけて‘寛海和尚’が彫ったものである。松尾芭蕉が(奥の細道で)この辺りを通ったのが、1689年なので、(芭蕉より)175年!も新しく、おまけに完成が、明治時代になっていた、というのは意外だった。大分‘風化’も進んでいるし…。
こんな感じ↑で、探すと16の‘羅漢’が岩肌に刻み込まれている…と教えられたはずなのだが、実は羅漢は22体!あったのである。おまけ?に、23体目の‘獅子’までがあった。16羅漢は、(いうまでもなく?)お釈迦様の特に主だった弟子16人を指していうのだが、それに釈迦牟尼、文殊、普賢の両菩薩、観音、舎利仏、目蓮の三像併せて22体ということであった。(Kosyuの勝手な想像なのだが)16体を彫り終えた‘寛海和尚’が、(勢いがついて?)6体追加して、おまけに‘獅子’まで彫っちゃったのかな?と考えると、 なんか、ほほえましくなった。羅漢の表情もとっても愛嬌たっぷりで、 (羅漢を彫った)和尚さんの性格(人柄)が感じられて、おもしろいですね。

絵を描いている‘背’に、「吹浦駅」があるのだが、駅で降りて‘16羅漢’まで歩いていく方が、結構多いのには驚いた。特に、(熟年?)女性のグループは…(必ず?)なんだかんだと、お話をして行きますね。(笑) 海の色の話とか、夕焼けの話とか、いろいろとお話をして、楽しかった。でも、(絵を)ほめられると、うれしい。ハハ。

食事の後、16羅漢付近を散策し、午後3時頃から30分ほど描いてから、もうすっかり秋の風景の中を帰ってきた。稲穂も黄色に色づき、稲刈りも間近である。
15:30       1日目終了     (本日:2時間経過
帰り道の鳥海山。遊佐町から見ると峰が二つに見える。
吹浦には「道の駅」があり、帰りがけ、お刺身と‘イカ天’を買ってきた。「道の駅」の名前は‘フラット’。‘平ら’ではなくて、‘♭’(半音下げる)の意味。お値段が安め、のニュアンスかも…(笑)。帰ってから、イカ天とお刺身で(はやばやと)晩酌。しかし…ひとりで平らげてはいかんと、みんなに、少し残しておいたのだが、筆の後かたづけなどしてたら、チーにすっかり、食べられてしまった。(^_^;)

そして今晩は、固い筆も多くなったので、ストリッパーで絵の具を溶かして、お風呂で石けんで手入れをしたのだが…、30本!の筆を洗うのに、2時間以上かかってしまった。今は使わなくなったものも、きれいにしとこうと思ったのだが、30本は…洗うのは大変だった…。のぼせそうになった。(^_^;)
さ、明日も天気が良さそうだから、がんばろ。(できれば)午前の早い時間に。

2002年09月15日() 天気:曇りのち晴れ   [今日は、停滞…。
まずは、今日の(夕方の)鳥海山。西日が当たって、とても立体的だった。稲刈りも、もうじきである。
今日は、10時過ぎに出発…したのだが、途中から小雨がぱらついてきた。 20分で、吹浦漁港に到着。描こうかな、帰ろうかな、としばらく、様子見。 まあ、晴れるだろうと(心を決めて)、11時頃から描き始めた。
12:00     色付け中。          (本日1時間経過) 14:30  2日目終了 (本日2時間30分:計4時間30分経過
で、12時半頃(16羅漢の)食堂で昼食。 今日はラーメンにしよう!と、「海藻ラーメン」を頼んだら、これはひどかった…。(^_^;) ぬるぬるしてて、おまけに‘汐’くさい…。(よせばいいのに)スープまで、しっかり飲んでしまい、しばらく気持ちが悪かった。(でも、これは‘好み’でして、Kosyuの‘個人的感想’ですので、一度食べてみてくださいね。笑)

そう、絵の話も書かなくっちゃ。(笑) 実はこの絵は、‘西に向かって’描いているものだから、どうしても海の色が、‘逆光’かげんで色が出ない。おまけに、午後になって(少し)時間が進むと、まったく描けなくなる。
やはり、‘北に向かって’描く方が光が安定して、色もよく見える。午後からは、すっかり晴れあがってきたのだが、午後2時半で本日終了。絵は…ごらんのとおりで、明日に期待、ですね。まだまだ、‘筆数’が足りないのだけど、前半戦はこんなものかなと、思いながら、つい、(いつもはもっと最後の段階で入れる)‘アクセント’(←赤い旗とか、縦のポール)とか入れてしまった。すこし逆光のせいで、色が‘さびしく’感じられて、アクセントを入れて、気合いも入れて…と思ったのかも。(笑)
で、今日の‘夕日’。とてもすばらしい夕方の景色だった。

そして今晩は、筆洗い‘バケツ’の掃除をした。20年近くも使っているものだから、最近筆がきれいにならなくなった、のである。底から2cmくらいの所に、筆をこする‘網’がついているのだが、筆洗油を器にあけてみたら…絵の具の‘ヘドロ’が網に達していた。(^_^;)…また、ストリッパーを注いで、仕上げにお風呂場できれいにした。結局…今晩のお風呂も、1時間以上かかってしまった。でも、この二晩で、すっかり絵の道具がきれいになった。あとは、絵の具箱の掃除かな?ついでに、パレットも。(笑) 

さ、明日も晴れるといいな。
(↑と思ったけれど翌日は、終日の雨。‘元ちとせ’などを聴きながら、ごろごろと…していた。でも、金曜日の夜から連日のお絵かきで、足も‘筋肉痛?’加減でちょうど良かったかも。^_^;)

2002年09月21日() 天気:晴れ   今日は、「吹浦港」3日目。
1週間ぶりの吹浦港行き。 不思議なのか、当然なのか…先週と、すべて同じ位置に、同じ船があった。(すこし、ほっとした。)今日は、10時前に出発。荷物を運んだり、準備をしたり、こころの準備も?したりで、描き始めは、10時30分。
10:30        今日の吹浦港のようす。 11:30         本日1時間経過    (計:5時間30分
この後、(水の色が)手前にくるほど‘暗くなる’のに気づいた。そしてただちに、海の色の‘全面改修’に入った。でも…「写真」を見るとすぐわかるのだが…。不思議。じかに風景に‘相対’しているときには、形も(色も)、とっても取りにくいのはなぜなんだろう。形もそうなのだが、『あれれ?ここの色は…何の色だろう??』と、途方に暮れることがよくある。とくに、‘水面’は…難しい。
12:30        本日2時間経過     (計:6時間30分 14:30     3日目終了  (本日3時間経過:計7時間30分
(‘歩道’で描いているものだから…)今日も、色々な人が寄ってくれて、(少し)知り合いが増えた。 遊佐町の郵便局にお勤めの方は、局内への絵の展示を勧めてくれた。 秋に「都美術館」に水彩画の発表を控えている方とも色々とお話をした。 でも、一番うれしかったのが、自転車で通りかかったおじさんが(しばらく眺めてから)、 『実際の景色よりも、ずっといい!』と、ほめてくれたこと。

Kosyuは、写真では…絵が描けないのは、↑の方のおっしゃったことが、 実は…絵を描く?ことの(Kosyuの)意味(目的?)だからなのかも。 風景を見て、いいな、素敵だな、と感じるところを描きたい、と思うから。 美しい景気の中の、さらに美しいところを発見しながら?描くってことかな。(できた絵の、仕上がりとか、完成度は…別にして。^_^;) でも今日は、‘海の色’が良くなったので、すこし気分良く、帰ってくることができた。
今日は、Tazukoはお仕事で(例によって?)一人反省会。 チーが、つきあって?くれた。右は、‘座敷’からの景色。
でも…チーはゴロゴロした後、じきに遊びに出て行った。 (やっぱり…チーだ。マイペース。)

2002年09月22日() 天気:晴れ   今日は…泣きたくなった。(‥、)
本日、11時30分に描き始め。終了は午後3時。でも、実質2時間半くらいかな?今日は、まず‘奥’に見える日本海の明るさを調整。そして、右側の中景の‘山’の部分に手を入れた。ここら辺は、‘松食い虫被害’で、すかすかの松林が多い。あとは、手前の2艘の船に手を入れた。時間はかかったが、目に見える進展がなくって、もう…嫌になった。Kosyuは…風景画の命?は、‘みずみずしさ’だと思うから、‘手あかが付いた’感じになっていくのには、まったく…泣きたくなってしまう。「感動の持続」ができなければ、風景はとたんに死んでしまうように…思うのである。

で、今日の最終↓。と、描いている場所、全景?
←車の往来も多く、特にオートバイの騒音!には、まいった。カーブなので、騒音が‘ループ’して近づいてくる。電車も…すぐに‘トンネル’に入るので、律儀に警笛を鳴らしてくれる。貨物列車は、とっても長い。(…今日は、グチっぽいですね。。^_^;)
15:00        4日目終了   (本日2時間30分経過:計10時間
今回の、お仕事場所。
そして、描いている場所が「歩道」なものだから、何かと気を遣う。まず、通り過ぎる人には‘ごあいさつ’。なんといっても‘お邪魔’をしているのだから…。でも、来る人来る人に「こんにちは」といっていると、(逆に)色々な方と、知り合いになれる。きょうの一番うれしかったのは、近くの(買い物帰りの)お母さん。 『ここに住んでいると、なんとも思わない風景なのだけど、こうして絵で見ると‘ああ、とってもきれいな景色だったんだ’と改めて感じることができた。』という言葉。\(^o^)/

‘裏の畑’から、遠征?して描くと、色々な方とお話ができるのは、とってもうれしいですね。また、「プロの方ですか?」とか「(失礼ですけど)号いくらくらい?」とかも、(お二人から)きかれた。(笑)
でも、この絵、もう一回くらいかな?でも、明日は天気が崩れそうな気配で、どうなることか…。

2002年09月23日() 天気:晴れのち雨   やった〜!(一応の)完成!!]
今日は、お天気は崩れる予報だったのだが、(すこし、遅く起き出して、しばらくすると…)青空が広がってきた。でも、今日は‘お彼岸’で、お墓参りなどの予定もある。しかし、おばあちゃんやら(女房も)2時過ぎに帰ってきたら、それから一緒に行こう、というので、お言葉に甘えて、早速の‘吹浦’行き。

14:00           5日目終了 完成?       (本日2時間30分経過:計12時間30分
11時20分吹浦着。描き始めは11時30分。 青空も広がって、とってもいい気分。一気に(休みなしで)午後1時まで描いて、一服。 少し離れて見て、全体の調子をチェックして、さらに2時まで集中して描けた。

今日は、主に右側の船に手を入れた。きのうとそんなに変わったところが見えないのだが、 実は、これらの船は下描きにささっと?色を入れたくらいで、 絵の具がほとんどついていなかったのである。

でも、(変わったところが見えないのは)最初のイメージから離れないで、色づけができたということで、じつは、‘ねらいどおり’なのかも知れない。そして今日で、5日間通ったのであるが、一番集中できたかも知れない。

合計で、12時間30分。でも、これは絵を描いた‘実質’の時間で、準備や後かたづけ、 お昼を食べに行ったり、ゴロゴロしたりで、吹浦で過ごした時間は、20時間近いと思う。車を止めてみてくださった方や、通りすがりに色々とお話をしてくれた方々、ありがとうございました。とてもうれしかった。

でも…、2時に終わりにして(急いで)家に帰ったら、皆で…もうお墓参りに行ってきたと、つれない?(Kosyu家)女性陣のお言葉だった。(^_^;) でも、きょうは気分がとってもいいから、ひとり…お寺に行って来た。おじいちゃんは、待っててくれたかな?
しかし(終わってみれば)、いい連休だった。こういうのを‘ハッピーエンド’というのかな?(笑)

この絵が(一応?) できたので、10月2日から(酒田市美術館で)開催される『市民美術展』に出品することにした。ぴったりの額も(25日に)買うことができた。でも、気が向いたら?この週末にもう一度、‘最終仕上げ?’に…吹浦港に行くかも知れない。(いくらでも?描くところは…まだまだ、あるのだから…。笑)


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